乞食と大学教授は3日やったら辞められない職業か?

「乞食と大学教授は3日やったら辞められない」という言葉を聞いたことがありますか?
ちまたで囁かれていることだったりするわけですが、
これは言い換えると、それくらい楽な職業、という皮肉まじりの言葉なわけです。
(くれぐれも言っておきますが、ここでは乞食を軽蔑しているわけではありません)

で、今回は、本当にそうなのかどうかを考えてみようと思います。

目次

1. 大学教員には、いくつかの立場があります
2. 大学教授のいいところはなにか

1. 大学教員には、いくつかの立場があります

まず、ここでは「大学教員」ではなく、
「大学教授」といっているので、まずその違いから考えます。

大学教授が、大学のなかでどういう立場かを考えてみましょう。
大学では、助手、助教(昔の助手)、講師、准教授(昔の助教授)、教授という立場があります。
大学によって異なりますが、
多くの大学では、助教は5年くらいの任期がついているところが多く、
准教授以上になると、テニュアとよばれる終身雇用の資格をえられるところが多いようです。
つまり助教は任期が終わればその大学から去らなければならない、かもしれないという不安定な状態なのに対し、
准教授、教授は、自分がいたければそこにずっといれる、という立場になります。

では大学教授より上の立場が大学内には存在するのでしょうか。
もちろん各学科の教員のトップになる学科長、
学科の集まりである学部のトップになる学部長、
さらには大学の執行部(学長、副学長、理事など)などはただの大学教授より立場は上になりますが、
これらはすべて管理職になりますので、
実質、大学教授になればアガリ、というわけです。

2. 大学教授のいいところはなにか

では世間からみたときに、
大学教授がいいと思われそうなことについて列挙しようと思います。
(これは異論なども多々あると思いますが、僕の思いつくままであり、
 僕がそういう気持ちであるというわけでもないので誤解のないようにお願いします)

  • 安定:終身雇用であること(こんな時代でも、少なくとも日本においては終身雇用です)
  • 給料:多くの人は長時間滞在しているので時給にすると安いが、世間的な給料としては悪くない
  • 副業(兼業)自由:きちんと届け出をだして認められれば構いません
  • 時間が自由:基本的に裁量労働制であるので、何時にきて何時に帰っても文句は言われない
  • 服装が自由:ワイシャツにネクタイなどのかしこまった格好で通勤する必要はない
  • やりたいことをできる自由:研究面では、なにかをしないといけない、なにかをしてはいけない、ということはほぼありません
  • 若い気持ちの維持:常に大学生と接しているわけですから、気持ちは若くいられますよね
  • 世間的な地位:一応、大学教授というと一目おかれることが多い
  • 人が成長する過程を感じることができる:これは先生という名前がつく職業に共通です
  • お山の大将:研究室という小さい単位ではトップにいるため、偉そうにできる(僕はしていませんが)

もちろんこのように書くと大学教授の方々からも怒られそうですが、
あくまでもイメージ、ということでご理解ください。

このようにならべてみると、
やはり一番の特徴は、自由が保証されていることだと思います。

先日、研究費の話なども書きましたが、
昨今、それ以外にも以前と比較して
いわゆる雑用といわれるような仕事など大学教員が行わなければならないことがどんどん増えています
昔にくらべると、本当に自分のやりたいことだけに使える時間というのは圧倒的に減っているといわれていますが、
それでもやはり悪くない職業だと僕は思っていますが、
みなさんどう思われますか?

大学教授について書かれた本はたくさんあるのですが、
今から約10年前に僕が大学教授になったときに読んだこの3冊のシリーズ本は、
書かれたのが1991年にもかかわらず、とてもよくできた本です。

この本のプロローグにこう書いてあります。

「大学の先生って、ひまだわね」
「ほんとねー、授業のときにしか学校に来ないでさ、来たと思ったら、いつ作ったのだかわからないような古ぼけたノートを開けて、私たちにおかまいなくしゃべりなくって、それで、さいならだもの」
「先生では下へいくほど忙しくて大変なんだって、大学よりも高校、それよりか中学、いやだなー、小学校が一番大変じゃないかしら」
「幼稚園が一番大変だわね、子供の面倒までみなけりゃ、いけないもの」
「大学の先生っていいよね。なるのに資格がいらないんだってよ」