論文の書き方を学ぶのにとっておきの2冊を紹介します(学生・大学院生向け)

学術論文を書こうと思うけど、それぞれの項目になにを書いてがなんとなくしかわからない

学術論文の書き方について、自分で少し勉強したいけどおすすめの本がないか

こういった疑問に答えます

本記事の内容

1. 論文の各項目になにを書いたらいいのか根本的に理解するには「これから論文を書く若者のために」を読みましょう

2. 論文を書くのに、より実践的な方法を簡単に学ぶには「Prof.佐谷のバイオ論文はこう書く」を読みましょう

この記事を書いている僕ですが、
原著英語論文は、共著を合わせると100本以上、実際に自分自身が一から執筆した英語論文も30本以上あります。
またこれまでに卒論を指導した学生は20人くらいいて、その多くを英語論文として発表しています。

こういった僕が解説していきます。

1. 論文の各項目になにを書いたらいいのか根本的に理解するには「これから論文を書く若者のために」を読みましょう

これ名著です。
ちょっと分厚いので、読むのに少し気合がいりますが、
これを読むと、論文の構成やそれぞれの項目にどういったことを書けばいいのかが、根本的に理解できます。

日本の学部教育(や大学院教育でも)では、論文の書き方をきちんと習いません。
でもこれにはテクニックがあって、我々はそれを学ぶ機会がないだけで、
実際に論文投稿する際には、それを理解した人たちと対決する必要があるわけです。

いくらいいデータがあっても、うまく論文を書くことができなければ、それを表現できないので、もったいないわけです。
こうしたテクニックを知らないなかで、自分が読んできたいろんな論文を雰囲気で真似して書いても、うまく書くことはできません

たとえば、うちの研究室で学生に卒論を書かせると、よくある失敗が、
 ディスカッションが、イントロダクションとリザルトが混ざった感じになっていて、ディスカッションになっていない、
 リザルトにディスカッションで述べるべきことが書かれている、
 イントロがやたら長くて、レビューのようになっている、
なんてことはよくあります。

お恥ずかしながら、僕も初期の論文はこのあたりあまり理解できずに、
なんとなく人の論文読んで、なーんとなく書いていたので、今読んでも恥ずかしい限りですし、
いかに自分が理解できずに、自信をもてずに書いていたのかということが思い起こされます。

この本では、
こうした論文の書き方ひとつひとつを丁寧に解説してくれていますし、
さらに具体例(日本語論文)がしつこいぐらいにめちゃくちゃたくさんあって、とてもわかりやすいです。

たとえば悪いイントロダクションといいイントロダクションを比較してみたり、
悪い例をどのようにすればよい形になるかを示されていたり、
一人で学ぶには最高の書籍です。
そのため少しお高いですが、十分お金を払う価値のある本です。
(著者の酒井先生は、イントロ部分で、古本を売買するのは著者に印税が入らなくなるのでやめてください、と述べられています。笑)

2. 論文を書くのに、より実践的な方法を簡単に学ぶには「Prof.佐谷のバイオ論文はこう書く」を読みましょう

こちらの本は、さきほどの本と比較すると、めちゃくちゃ薄いです。

厚さ歴然の差!!

この本は、慶應大学の医学部の一流研究者である佐谷秀行先生が、
日本癌学会のモーニングレクチャーで英語論文の書き方を解説されたときの内容をまとめたものです。
たまたまそのときにそのご講演を聞いていたのですが、あまりにも簡潔な説明に驚いて、
そのあとこの本がでたときに飛びついて購入しました。

この本のいいところは、
非常に簡潔にすべてが解説されています。
論文全体の構成、ここの項目の内容の書き方、これらが単純マニュアル化のように解説のされているので、とにかくわかりやすい。

「これから論文を書く若者のために」は、根本的に理解するというのが目的とすれば、
こちらの本は、とりあえず時間ないけど、だいたいの書き方を手っ取り早く知りたい、という人におすすめです。
完全にテクニック本のようになっています。
薄くて読みやすいので、1時間もかからず全部読めると思います。

僕が思うに、論文の書き方を学ぶ、という点では、
細かいテクニックを除くと、この二冊が最強の組み合わせだと思いますので、ぜひご参考にしてください。

どうしたら時間がないなか論文を書く時間をとるのか、ということについては、また別途おすすめの本を紹介します。

これらで勉強して、みんなで日本からどんどん英語論文を発信しましょう!!