二流免疫学者が、免疫を勉強するのにおすすめの本を紹介します(一般の方、学生向け)

  • 免疫を勉強したいけどどうやって勉強していいかわからない
  • お勧めの本はないかな

こういった疑問に答えます

本記事の内容

  1. 免疫の勉強が難しい理由をおしえます
  2. 免疫を勉強をするのにおすすめの本を紹介します

この記事を書いている僕ですが、
僕も大学時代の免疫学の授業のときは全然理解できず、好きになれませんでした
大学院で免疫を一生懸命自分で勉強してから、
免疫学を専門に研究していた時期もあり、また2005年からは免疫の研究をしながら、免疫関連の犬猫の病気をたくさんみながら、免疫に関連した治療法などの開発も行っています。
また、今は専門家気取りで臨床獣医師向けに講演など多数しています。

こういった僕が解説していきます。

1. 免疫の勉強が難しい理由をおしえます

免疫を難しいと感じる人は多いですが、免疫学は全く難しい学問ではありません

免疫を授業などで習って嫌いになるのは、教える人が悪いからです。笑
免疫学の授業などを聞いて面白いと思えないのであれば、
それは教える側が免疫に関連する病気のことに十分触れながら免疫学を教えていないからです。
免疫学を免疫システムの細かいところから考えると、間違いなく複雑すぎて嫌になります

まずは、免疫システムについて大まかに理解できるように教えた上で、
それぞれ病気と結びつけて細かいところを教えていくと興味ももてますし
そうなると嫌いになるどころが、すべてが巧妙につながったあまりにも美しい免疫のシステムに魅了さえされるはずです。

もう一つ、免疫が複雑な学問にみえるのは、
登場人物が多すぎること、カタカナ用語が多いこと、同じモノでも違う呼び方をすることが多いこと、などが理由です。

たとえば、リンパ球にはTリンパ球、Bリンパ球がありますが、
それをT細胞とよぶこともありますし、またT細胞は、さらに細かく分けると、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、、、、、、に分類されたり、またヘルパーT細胞は、CD4陽性T細胞とよばれたり、などと、同じモノでも異なる名前で読んだりするので、多くのことを覚える必要がでてきたりします。

そうはいっても細かすぎてわからないという意見はあると思いますが、全く心配いりません。
大事なことはおおまかに理解することです。細かいことは覚える必要はありません。
僕も新しい話題はついていけないこともたくさんあります。

免疫を嫌いになってしまう人の多くは、
最初から、細かい用語を覚えたり、細かいところから勉強を始めてしまうことが理由
です。
免疫学は、進歩がとても早い学問なので、細かいことを調べはじめるときりがありません。

繰り返しになりますが、大事なことは、
おおまかにだいたいの免疫システムを理解すること
それぞれの免疫の病気の際、免疫システムのどこが異常になるのかを理解すること
この2つです。

全体像を理解すれば、免疫は全く難しい学問ではありません。

2. 免疫を勉強をするのにおすすめの本を紹介します

さて、では全体像を理解するのにおすすめの本を紹介します。
よく他のサイトでは、下記の「免疫生物学」のような免疫学の教科書など紹介されていますが、大学院生や専門で勉強する人以外は間違いなく挫折します。

また専門で勉強する人も、まだ免疫学に慣れていないのであれば、
最初に以下のような本を一回読んで、大まかに理解してしまうといいと思います。

マンガでわかる免疫学

この本は、下記の「よくわかる免疫学」とともに京都大学の免疫学者である河本宏先生が書かれた本ですが、とくにこれはすべて中身が漫画なので、とても読みやすいです。
そのわりに大まかにきちんと書かれているので、大枠を知るにはとてもよい本です。

もっとよくわかる!免疫学

これも河本先生の本です。これは「マンガでわかる免疫学」と比較するとより専門的になりますが、大まかにも理解するのにも使えますし、細かく知ろうと思えば、それについてもきちんと解説されています。下手な教科書よりよほど役に立つ本だと思います。

あとは絵心のある河本先生の手書きのイラストがとてもかわいいので、それも注目です!

免疫ペディア

これは上記の本にくらべると、より新しい本ですが、
どちらかというと辞書的に使うかんじだと思います。
つまり前から読み進めるというよりは、それぞれ項目立てになっていますので、
知りたいところを知りたいときに読む感じだと思います。

また実際の病気のことについても後半で触れていますので、免疫の関与する病気を基礎免疫学の知識から見直すこともできます。

新しい免疫入門-自然免疫から自然炎症まで

これも免疫システムが一通り理解できるように、平易に書かれていますが、
おおまかに理解する、ということからすると、河本先生の本にはかないません。
ただ、河本先生の本とはちょっと違った視点で書かれていますし、ブルーバックスの読み物になっているので、ある程度読みやすいと思います。

免疫力を強くする

これが今回の紹介のなかでは、一番新しい本です。
最近、新型コロナウイルス感染についても的確に解説されている大阪大学の免疫学者 宮坂昌之先生の本です。ワクチンやウイルス感染だけではなく、がんの免疫療法なども含め、幅広い観点でさまざまな病気について触れられていますので、読み物としても楽しいと思います。

上記の解説にしたがって、ぜひなにか読んでみてください。
免疫学を好きな人が一人でも増えて、免疫学の美しいシステムに魅了される人が一人でも増えるとうれしいです。